今日の要点
6つだけ持ち帰っていただければ十分です。
「氣」という字の話
同じ「き」でも、中身が違います。
合氣道は、名前のとおり真ん中に「氣」が入っています。普段使う「空気」の「気」は真ん中が「〆」で、出さないようにするという意味合い。合氣道の「氣」は真ん中が「米」で、八方に広がる。つまり氣は、出すものなんですね。
——師匠の言葉
合氣道をやる上でも、日常生活を送る上でも、氣を出すことは生きるのと同じくらい大事なんだよ、と教わってきました。今日はその「氣」を、どう日常に活かすかという話です。
大原則「心が体を動かす」
不自由だな、動けないな、と感じたときに効く考え方です。
行動の前には、必ず心が動いている。
皆さん、今日このZoomに参加しようと思ったから、朝パソコンを立ち上げて参加されていますよね。はっと気づいたらいきなり参加していた、ということはまずないはずです。心が動いてから、体の行動に移る。これが大前提です。
そのうえで、私たちは感情に囚われやすい。感情に囚われると、何のためにやっているのかという大事なことが見えなくなってしまいます。
テスト前に掃除を始めてしまう、あれです。頭でどんなに理屈をつけても、心のほうが強い。だから、アプローチする先を間違えてはいけません。
未来に氣を向ける
心に働きかける、具体的なやり方。
今は「勉強したくない」という感情にフォーカスしてしまっている。それは事実です。でも、この先、未来に氣を向けると、感情は非常に動きやすいんですね。
具体的に言うと、妄想します。「今勉強して、いい点が取れたらどうなるかな」と。先生に褒められるかもしれない。友達から「今回やるやん」と言われるかもしれない。前から欲しかったゲームを買ってもらえるかもしれない。
言葉だけでは動きません。
ワクワクしてくると、「掃除なんかしている場合じゃない」となる。その瞬間、面倒くさい気持ちは消えています。そのワクワクを感じたいから動くわけです。これが、心に対するアプローチのひとつです。
結果ではなく、プロセスにフォーカスする
スタンフォード大学の、褒め方の研究から。
子どもたちを2つのグループに分け、同じテストを受けさせます。結果が出たとき、片方には点数を褒め、もう片方には勉強した過程を褒める。そのあと、より難しい問題を出しました。
結果を褒められたグループ
- 「いい点取ったね」「頭がいいね」
- 結果が出せないことは、やらないほうがいい
- 難しい問題で諦める子が多かった
過程を褒められたグループ
- 「頑張ったんだね」
- 取り組むこと自体がすでに価値になっている
- 難しくても諦めずに取り組んだ
能力を褒めると成績はむしろ下がり、努力を褒めると上がった、という結果まで出ています。
「わからない」という状態を、キープしたまま動けるか。
誰でも、わからない状態はストレスです。大事なのは、その状態をなくすことではなく、抱えたまま行動できるかどうか。耐えられないと、諦めたり動けなくなったりします。でも、やっていること自体が偉いんです。結果というのは、行動した結果でしかないので。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/2fd85e0b0adc594fcc920436efaef6cbc4511c39
余裕を持つ ——『渋滞学』の話
リラックスしていないと、氣は出せません。
「何のためにやっているんだったか」を確認するのは、実は時間がかかります。落ち着いて考える時間は、意識して取らないと取れません。妻は昔、「一人会議したい」と言ってミスドに2時間ほど出かけ、ノートに書き出して頭を整理していました。あれはとても大事なことだと思っています。
日々忙しくしていると、重要なんだけど緊急じゃないことが後回しになります。そして「大事なんだけど、暇がないから結局やらなかった」となる。
感情をコントロールするための土台は、根性ではなく余裕です。
具体的にどうするか
課題に取り組むときの、3つの手順。
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使える時間を書き出す
1週間でこの課題にどれだけ時間が取れるか、実際に書き出してみてください。1日2時間なら、1週間で14時間。それが自分の持ち時間です。
そして、その2時間以外——1日で言えば残りの22時間は、課題のことを忘れてください。どうせできない時間に「やらなきゃ」と思いながら過ごすほうが、精神的に悪影響が出ます。
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やるタイミングを「行動の後」に置く
忘れてしまうのが心配な方は、タイミングを決めます。ただし「夜やる」ではなく、ある行動の後、と決めてください。
歯磨きをしたら、パソコンを開く -
ミニゴールを小さく置く
「夜ご飯を食べたら課題をやる」ではダメです。大きすぎる。どこまでやるのか決まっていないと、それだけで面倒くさくなります。
夜ご飯を食べたら、ノートパソコンを机に置いてスイッチを入れるスイッチを入れたら、「とりあえずちょっとやろうかな」となるものです。そこまでで、もうミニゴール達成です。
比較について
シェアボードを見て、不安になってしまう方へ。
人と比べること自体をおすすめしているわけではありません。ただ、人間はどうしても比べてしまうので、どうせ比べるなら条件を揃えて、学ぶために比べましょう、という話です。
不利な比較
- 相手の完成品 × まだできていない自分
- 週末しか触れない人 × 毎日触れる人の完成品を、優劣で見る
- 比べた結果、手が止まる
学ぶための比較
- 相手の完成品 × 自分の完成品
- 「この部分どうやったんだろう」と分解して見る
- 比べた結果、質問が生まれる
相手の完成品は、試行錯誤した時間、作業時間、失敗した回数、環境が組み合わさってでき上がったものです。ぱっと一発でできたわけではありません。こちらからはその過程が見えないので、ぱっと見のクオリティだけで判断してしまいがちなんですね。
作業時間が違えばクオリティに差が出るのは当たり前です。それは能力の差ではなく、条件の差。だったら、「自分のできる範囲で、時間の使い方をどう変えて、何を質問して取り入れようか」と考えるほうがずっと建設的です。
どんどん見て、どんどん聞いてください。質問は禁止ではありません。
ちなみに、僕がアプリを作って「すごいの作りましたね」と言われたとします。そこで僕が「いやー、スティーブ・ジョブズのほうがすごいので」と返したら、どう思います?「いや、なんでそこでジョブズと比較するの?」って思いますよね。そもそも、相手はジョブズと比較して褒めているわけじゃないんです。なのに、自分から世界一の人を比較対象に持ち出して、「自分なんてまだまだだ」と評価を下げてしまう。比較する相手は、自分で選べます。わざわざ自分が不利になる相手と比べる必要はないんです。
「氣を出す」とは行動すること
正しいポジティブシンキングとは何か。
世の中には、間違ったポジティブシンキングが結構あります。車をぶつけてしまったときに「怪我がなくて良かったね」と考える。分からなくはないんですが、事故自体はマイナスの出来事で、それが消えるわけではありません。
痛かったことを「痛くない」と考えるのは、ポジティブではなく現実逃避です。
氣を出すというのは、そうではありません。マイナスの事実を一旦そのまま受け入れて、そこから「よし、次どうしよう」と一歩踏み出すこと。これが、氣が出ている状態です。
氣が止まっている
- 「困った、困った」で立ち止まる
- 「いや、私は困っていないから」と目をそらす
- どちらも、現実は何も変わらない
氣が出ている
- 「困っているんだよね」と認める
- 「で、何から手をつけようかな」と考える
- 先に、未来に氣が向いている
おわりに
人間は感情の生き物ですから、振り回されるのは当たり前です。でも、感情のコントロールは根性論ではありません。具体的な一つ一つの行動を積み重ねていくと、できるようになっていくことです。
柔軟体操も、1回やってぐにゃぐにゃになる人はいませんよね。繰り返すうちに体に染み付いてきて、考え方としても染み付いてくる。合氣道でも、初心者はまず意識して「氣を出す」ところから始めて、稽古を重ねるうちに、無意識に「氣が出ている」状態へ移っていきます。